「言葉」は時代によって変化するもの、そして、その時代を反映するものと言われます。日進月歩の今日の状況にあっては、最新の技術や施策が次々と生まれ、それに伴って、新しい言葉も増えていきます。特にデジタル化の進むビジネスシーンはもとより、日常の業務あっても、数多くのマーケティング専門用語、カタカナ語、英語略語がふんだんに使われている現状を目にします。ただし、実は正確には分からない、説明できないという言葉も少なくないようです。
そこで、POP広告に関わる人たちから、流通業に携わる多くの人たちが必要とする用語を検索する時に、すぐに役立つ用語集となるよう、POP広告用語を主軸として、関連する基本的な経営用語から、最新のITビジネス用語まで取り上げて構成しました。ぜひ、有効にご活用ください。
POP&マーケティング用語集は、下記の5つのカテゴリに分類して意味を表記しています。それぞれのカテゴリーは「あいうえお順」「ABC順」に用語を列挙しています。用語の中の知りたい単語をクリックすると該当する行の見出しに飛ぶので、そこから知りたい用語までスクロールしてください。
例)知りたい用語「キャッチコピー」
POPカテゴリ-「POP&広告関連」の用語から「キャッチコピー」をクリック。
【か】の見出しに飛ぶので、そこから下にスクロールして「キャッチコピー」を探してください。
●カーボンニュートラル ●キャッシュレス決済 ●キャパシティー ●健康経営 ●コンバージョン
●サイバーテロ ●サスティナブル ●サーバーレス ●サテライトオフィス ●サブスクリプション ●サービス・ケア・アテンダント ●ショートムービー ●情報バリアフリー ●セキュリティ ●ゼロトラスト
●ナレッジワーカー ●ニューノーマル ●ノマド、ノマドワーカー
●働き方改革 ●バリアフリー ●ファシリテーションとファシリテーター ●フードテック
●ライブコマース ●ランサムウェア ●リージョン ●リモートワーカー ●レジリエンス
アウトソーシング(Outsourcing)
自社で行う一部の業務を、外部の業者や個人に委託することを言う。専門的な技術、知識がなくてもその産業に進出可能になり、業務を拡大できるのが利点。自社ではノウハウがない場合や、コストの問題で社員を教育するのが難しい場合、あるいは専業の事業者に委託した方が低コストになる場合に用いられる。外注や外製、社外調達などとも言われている。
アーカイブ(Archive)
長期的に保存したいデータを、専属で設けられた保存領域や記憶装置に移動させることを言う。またはそのデータ自体。データは圧縮して保存しておくことも多いため、その圧縮ファイル自体を呼ぶ場合もある。単語自体は、保存記録、公文書あるいは記録保管所といった意味を持っている。最もよく目にするのはOutlookやGmailなどのメールを利用する時で、 一般的に受信されたメールは、「受信トレイ」に保管される。 しかし、この「受信トレイ」には膨大な数のメールが受信されるため、特に重要なメールを別の場所に保管することが必要になってくる。 その際、使われるのが「アーカイブ」機能。 この「アーカイブ」機能を利用することで、長期間保存し、必要なときにまた引き出すことが出来る。
アクセシビリティ(Accessibility)
もともと「近づきやすさ」「接近できること」を意味する英単語。転じて「年齢や、障がいの有無、利用している機器や環境などに関係なく、どんな人でも利用しやすいよう配慮・設計された状態」という意味で使われている。高齢・障がい・病気などで、運動機能や視覚・聴覚などに制約があるユーザーへの配慮は、特に重要視すべきであるが、しかしバリアフリーの面だけではなく、すべての人に向け、あらゆるケースや環境下を想定した上での利用しやすさも、アクセシビリティの考え方には含まれる。
例えば、身近なところで、アクセシビリティが考慮されている例としては、パソコンやスマートフォンにも、「アクセシビリティ設定」が標準装備されている。ディスプレイの表示を直接見ることができない人向けの「文字や画像の読み上げ機能」、マウスやキーボード、ボタンの操作が難しい人のための「手元での操作に替わる入力機能や音声認識」など、さまざまな機能がある。シニア世代を中心に使われている“らくらく使える”タイプの携帯電話やスマートフォンも、アクセシビリティを向上させた例である。携帯電話に不慣れな人や子どもにも優しいプロダクトであり、画面や本体の文字がはっきり読みやすく、ボタンも大きく押しやすい作り、操作性を重視したシンプルな設計などは、高齢者や視覚に制約のあるユーザーに寄り添ったアクセシビリティと言える。
アサイン(Assign)
「任命する、割り当てる」という意味を持つ単語。ビジネスシーンにおいては、「仕事の担当者をアサインする」「新しいポジションにアサインする」などのように利用される。その他にも「仕事を割り当てる」「役職などを任命する」「席を割り当てる」などのように利用される。人事のおいては、配属等の意味でも利用され、人を対象として使われることが一般的である。その他のシーンでは、席や部屋を割り当てる際などに利用し、物や空間を提供する際にも利用される。このように、1つの単語が場面や対象となり異なる意味を持つ場合が多い。アサインと類似している用語として、アサインメントがある。動詞であるアサインの名詞がアサインメント。意味は、同じく「割り当て」「任命」である。実際には、アサイメントが正しい表現になる場合もあるが、現在ではアサインがビジネスで利用される例が多い。
アジェンダ(Agenda)
「予定表・計画」という意味であり、行動やスケジュールのことを指している。スケジュール帳にも「agenda」と書かれたものが多い。ビジネスにおけるアジェンダも、元の意味は「予定表・計画」であり、会議や打ち合わせで、何を決めるために行うものなのかという「議題」を明確にした行動計画やスケジュールを意味する。つまり、アジェンダとは会議の議題などを記した事前資料のこと。アジェンダを会議の軸に据えて、メンバーは意見を出し合い、会議を円滑に進めて行くことになる。
一方、レジュメも学校の講義やビジネスシーンで使われる言葉だが、「要約・概要」という意味で、ビジネスシーンでのレジュメは、その会議で報告する予定の要約が書かれた資料となる。講演会など、話し手と聞き手が一方的な場において、要点をまとめて印刷して配布するものをレジュメと呼んでいる。すなわち、アジェンダは「議題」、レジュメは「要約」と日本語に訳さているが、アジェンダは「取り組むべき行動計画」の性格があり、比較してみると意味も使い方も別のものと言える。
アジャイル(Agile)
柔軟で効率的なシステム開発によって、迅速なシステム提供を目ざすというソフトウェア開発手法の総称。アジャイル開発、アジャイル開発プロセスとも言う。アジャイルは英語で、「素早い・機敏な・(頭の回転が)速い」などの意味を持っている。ソフトウェア開発の課題であった開発期間の短縮化や低コスト化、柔軟で迅速な対応などを実現するための取り組みで、プログラマーなどの開発サイドから提唱された手法である。いくつかのアジャイルの手法は1990年代中頃から登場し始めたが、アジャイルが広く知られるようになったのは、著名なソフトウェア開発者17名の議論の末にまとめられた「アジャイルソフトウェア開発宣言」が2001年に発表されてからとされる。
その後、アジャイルが注目され普及するようになった背景として、2000年代前半ごろからコンピューターやインターネットの爆発的な普及と、ビジネスにおけるITの重要性がますます高まったこと、ビジネスの変革スピードが速くなったことにある。そのため、途中経過の成果を早い段階から継続的に顧客に引き渡すことで、開発途中での確認や仕様変更などに対応する。また、仕様書だけに頼るのではなく、顧客や開発チーム内でのコミュニケーションを重視することを基本としている。アジャイルは、より「ビジネスユーザーと一体になって開発できる」「変化に柔軟に対応できる」手法が求められるようになっている。
アテンダント(Attendant)アテンド(Attend)
アテンダントは、付添人(介添え、介助)や接客係という意味で、特定の人のサポート役やサービスを行うスタッフに対して使うことが多い言葉で、アテンドは、付き添うや世話をする、また出席するなどの動作を表している。アテンダントは名詞、アテンドは動詞の違い。
アラート(Alert)
警告(する)、警報(を出す)、警戒態勢、油断のない、機敏な、などの意味を持つ英単語。ITの分野では、システムなどが利用者に注意や警戒を促すために表示・通知するメッセージなどのことを意味する場合が多い。新型コロナの蔓延状況にあって、警戒態勢ということで使われることが多くなった。
アルゴリズム(algorithm)
アルゴリズムとは、「問題を解決するための手順や計算方法、操作の組み合わせ」を指す言葉である。答えを求めるときの手順を具体的かつ明確に示したものだと言える。
アンバサダー(Ambassador)
日本語に直訳すると「大使、使節、代理」のこと。そして「大使」とは「国を代表する外交の最上位の役職」という意味である。しかし、最近よく使われる「アンバサダー」は「外交の最上位の役職」という意味だけではない。「筆頭」「第一人者」「その分野を代表する存在」といった意味合いで用いられることもある。この意味から転じて「自治体・機関・企業といった団体から任命されて、広報活動を行う人」といった使われ方をしている。例えば「タレントの○○さんが、〇〇〇自動車大使に任命されました!」という使われ方をすると、○○さんが〇〇〇自動車のイメージキャラクターに決まりましたというような意味になる。つまり「広報大使」でということである。認知度の高い人の知名度を借りて、商品の広報やPR活動をしてもらおうという戦略で、アンバサダーマーケティングと言われている。
イノベーションマネジメン(Innovation Management)
イノベーションとは、企業の運用・成長・革新における戦略的なビジネス手法であり、ビジネスの継続的な成功のために非常に重要なものとされており、企業戦略の中でも特に技術戦略に関わり、企業の中核的な技術の習得を目指す「コアコンピタス理論」が提唱されている。コアコンピタンスとは、「顧客に対して、他社には真似できない自社ならではの価値を提供する企業の中核的な力」を指し、顕在する短期的な市場機会のみに着目した能力ではなく、環境変化にも適応できる長期的な技術開発に着目した能力をいい、ゆえに、未来に向けた成長戦略とも呼ばれるコアコンピタンスは、イノベーション実現のための大きな礎となるともいわれている。
イノベーションの実現に向けて、効果的かつ効率的に、資源(ヒト、モノ、カネ、情報)を動員、駆使、結合する主体的な工夫にはマネジメントが必要不可欠である。しかし、マネジメントは、管理、統制、コントロールといった、ある面イノベーションと相反する戦略でもある。革新的なアイデアであっても、それが顧客ニーズを満たすような製品やサービスとして結実しなければ、社会的な価値を生み出すことができず、イノベーションは実現しない。組織的なイノベーションを実現するためには、企業のマネジメント層が戦略とはなにかを考え、企業の競争優位にも関わる優れた技術をどう形成するか 変化を認識し対処するためには何をすべきなのかを真剣に検討しなければならない。
ウェビナー(Webinar)
ウェビナーとは、ウェブ(Web)とセミナー(Seminar)を組み合わせた造語であり、ウェブセミナーやオンラインセミナーとも呼ばれている。ウェビナーは主にインターネット上で行なわれるセミナーそのもの、もしくはインターネット上でのセミナーを実施するためのツールを指して使われる。ウェビナーの参加者は、インターネット環境さえあれば、パソコンやモバイルを使ってどこからでもアクセスすることができる。そのため、積極的にウェビナーを活用して参加者との繋がり得ようとする企業が増えている。
ウェビナーの配信方法には、リアルタイム配信と、録画配信がある。リアルタイム配信とは、決められた時間にセミナーを配信する方法で、ライブ配信と呼ばれることがある。リアルタイム配信では、チャット機能等を活用することで、参加者と双方向コミュニケーションを取れることがメリットとして挙げられる。一方、録画配信は、主催者があらかじめ録画した動画を、セミナー動画などの形で配信する方法である。リアルタイムで配信する場合と異なり、配信時間に決まりがないため、参加者がいつでもウェビナーを視聴できることがメリット言える。
ウェビナー開催の大きなメリットとしては、まず、会場費がかからないことにある。さらに、参加者側にとっては、対面式セミナーに比べて、参加に対する障壁が低くなり、参加人数の増加が期待できる。また参加しやすいウェビナー開催では、これまでの対面式セミナーとは異なる層が見られるという。すなわち、これまでの対面式では開拓できなかった顧客とつながる可能性もあり、新規顧客開拓の機会創出にも効果が期待できることがメリットである。片や、デメリットとしては、参加者の利用する機器や、置かれた通信環境によって、音声や画質に差や乱れが生じてしまう可能性がある。いくら運営側で防ごうとしても、参加者側の利用環境が一人一人違う以上は防ぎきれない。さらに、対面式セミナーと違ってウェビナーの場合、参加者の表情や雰囲気が確認できないため、参加者の参加意欲が測りづらいことも挙げられる。参加者の反応を知るために、ウェビナーの中でアンケートを実施したり、チャット機能を使って質問を受け付けるなど、参加者側も意欲的に参加できるコンテンツを準備しておくことがポイントである。
エッセンシャルワーカー(Essential Worker)
エッセンシャルワーカーとは、「人々が生活する上で必要不可欠な仕事を担う働き手」のこと。新型コロナウイルス感染症の影響によって、世界中で外出自粛やロックダウンなどが相次いだが、エッセンシャルワーカーは、そうした緊急事態下においても簡単にストップするわけにはいかない仕事に従事する人々に対し、感謝や尊敬の念を込めた呼称として使われるようになった。
どのような仕事に携わる人を指すかといえば、主に医療・福祉、農業、小売・販売、物流、通信、インフラ・公共交通機関など、社会生活を支える仕事をしている人達。例えば、医療・福祉の分野では、医師や看護師、介護士などが人々の生命や健康の維持に努めている。また、小売・販売、物流の分野では、スーパーやコンビニなどに生活に必要な日用品が届けられ、交通機関では、仕事や病院などに向かうために利用する電車やバスの運転手や駅員などの職員によって、滞りなく運営されて人々の生活を支えている。海外にあっても、英語でEssential Workerと呼ばれており、基本的な意味は日本語と変わらない。日本と同様に新型コロナウイルス感染症への危険性があるなか、ライフラインを維持するために現場で働いている人達に対して、尊敬の念が込められた呼称である。
エビデンス(Evidence)
英語の「evidence」がカタカナ語として定着し、生まれた言葉である。一般的には「根拠、証拠」という意味で用いられる。もともと、医療業界の言葉で、医学界では「臨床結果や検証結果」として使われていたが、今ではさまざまなシーンでも使われるようになっている。本来の医療業界において「エビデンス」は、「薬や治療方針に対する科学的根拠」という意味合いで使用されるが、単なる根拠ではなく、科学的根拠がなければならない。治療法や薬が、病気に対してどのくらい有効かを臨床試験などの研究を重ね、その結果が「エビデンス」となる。
IT業界における「エビデンス」は「根拠」という意味になる。具体的に指すものとして、メールやログファイル、録音記録や議事録、契約書などが挙げられる。ただし、IT業界独特の意味合いとして、「システムが正常に稼働しているかどうかを示すデータ」「確実にテストしたのかを証明する書類」のことを「エビデンス」と表現している。金融業界では、「エビデンス」とは「公的な証明書類」という意味になる。契約時に必要な、健康保険証や運転免許証などを指している。契約者のエビデンスが必要という場合、契約者の証明書の提出が求められているという意味になってくる。
エモーショナル(Emotional)
感情を意味する名詞「エモーション」の形容詞形で、「感情的・情緒的に突き動かされる様子」という意味。情緒のあるがままに気持ちを表現することを指している。「エモーショナルな音楽」「エモーショナルなパフォーマンス」などのように、感情を揺さぶるような、深く心に感じるようなものを表す言葉である。
最近ネットで流行語の「エモい」は、「エモーショナル」や「エモーション」といった「感情的」を意味する言葉を、日本語の形容詞化した言葉。意味は、「(言葉に表せないほど)感情が揺さぶられる」といったような感じで、「切ない」「愛しい」「やるせない」などの感情が複雑に入り混じって、言葉に表すのが難しいほど心を揺さぶられる様子を表していると言える。特にTwitterなどの文字数が限られている媒体では、感じたことを余すことなく書きたくても文字数が足りないような時に、「エモい」という一言はそういったあらゆる感情を集約することが出来るので、SNSを中心に多用されている。
オーソライズ(Authorize)
オーソライズの意味は、「権威を与える」「正式に許可する」「認可する」といったもので、「権威」や「認可」「許可」といった意味を持つ名詞「authority」の動詞形。日本で使われる場合も、「公認される」「正当と認める」「承認される」または「正式な権限を与えられる」と言った意味合いになる。ビジネスで「オーソライズ」を使用するケースとしては、例えば、オーガニック食品がJAS規格に通るなどといったことが、これに当たる。
「オーソライズ」の使い方として、パソコン用語としての用法がある。例えば、ソフトウェアを海賊版のような不正なものと区別する際に、「これはオーソライズされたソフトだ」などと使われる。すなわち「このソフトは正規のものである」という意味合いになる。「オーソライズ」がよく使われるもう1つの分野として、医薬品業界がある。「オーソライズドジェネリック」という使い方で、これは「新薬の製造会社から特許の使用を許されたジェネリック」という意味合いになる。通常、ジェネリック薬品(特許期限の切れた新薬と同成分の医薬品)は、オリジナルの薬と内容を全く同じにすることは出来ない。しかし「オーソライズドジェネリック」の場合は、先発薬の特許の使用許可を得ているため、内容や製法もほぼ同じにすることが出来るものである。
オンラインストレージ(Online storage)
インターネット上にデータやファイルを保存するクラウドサービスのことで、パソコンからスマートフォン、タブレットなどあらゆる端末からデータやファイルの保存や共有ができる。
通常、社内のネットワーク上にデータの保存場所を作る場合は、会社が専用サーバーを設置し運用する必要があるが、オンラインストレージの場合はサーバー機能がインターネット上にあり、インターネットがつながる場所であればどこでも接続ができるので共同作業が容易にできる。また、保存容量の拡張、データの一元管理などができるだけでなく、会社で機器の購入や運用する人材を雇う必要がないので、導入・運用コストをおさえることなど、非常にメリットが大きい。
しかし、デメリットとして、セキュリティ面での不安があり、URLとID・パスワードが同時に流出した場合、インターネットに接続することのできる人であればだれでも閲覧や編集ができてしまう。
カーボンニュートラル(Carbon neutral)
日本政府が2050年まで、温室効果ガス排出を正味でゼロにする「カーボンニュートラル」という取り組みに注目が集まっている。本来は環境に関する用語で、「植物や植物由来の燃料を燃焼してCO2が発生しても、その植物は成長過程でCO2を吸収しており、ライフサイクル全体(始めから終わりまで)でみると、大気中のCO2を増加させず、CO2排出量の収支は実質ゼロになる」という考え方である。近年では、それが概念化され、CO2の増減に影響を与えない性質や、二酸化炭素の排出量と吸収量のバランスが優れている状態を表す際にも、「カーボンニュートラル」と表現される。具体的には、CO2排出量を削減するための植林や再生可能エネルギーの導入など、人間活動におけるCO2排出量を相殺することもカーボンニュートラルと呼ばれている。
キャッシュレス決済
現金(キャッシュ)を使わずにクレジットカードやデビッドカード、電子マネー(交通系、流通系)、スマートフォン専用アプリのQR/バーコードなどを用いて決済すること。後日払いのクレジットカード、即時払いのデビッドカード、前払いの電子マネー、前払いまたは後日払いのQR/バーコードというように、支払いのタイミングが異なるさまざまなキャッシュレス決済がある。キャッシュレスのメリットとしては、決済が早くできる、現金を持ち歩かない、ポイントの活用、家計管理しやすい、不要な接触が避けられる、など。デメリットとして、回線の災害に弱い、使いすぎる可能性、加盟店以外で使えない、セキュリティ対策など。政府が推進していることもあり、急速に普及している。
キャパシティー(Capacity)
「定員、収容能力、最大積載量、許容量、受容力、包容力」などの意味を持つ英単語で、「キャパ」と略して使われている。キャパシティー(キャパ)は、日常でもビジネスシーンでもよく使われるが、ITの分野では、ソフトウェアやシステム、装置などが発揮できる最大の能力を指すことが多い。ビジネスシーンにおける例をあげてみると、
特に昨今の新型コロナ感染の状況にあって、収容医療施設の状況で使われる例が多い。以上のように、対象が物であれ人であれ、基本的には「容量、許容量、対応能力、処理能力」といった意味であることを抑えておくと良い。
健康経営
1990年代からアメリカで健康経営という言葉が広がったのがきっかけとされており、当時、従業員が怪我や病気になった際の医療負担が高騰していて、それが経営にも支障が出たことから取り組む企業が増えたといわれている。
経済産業省では、健康経営に係る各種顕彰制度として、平成26年度から「健康経営銘柄」の選定を行っており、平成28年度には「健康経営優良法人認定制度」を創設した。優良な健康経営に取り組む法人を「見える化」することで、従業員や求職者、関係企業や金融機関などから「従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に取り組んでいる企業」として社会的に評価を受けることができる環境を整備している。(経済産業省ホームページより)企業理念に基づき、従業員等への健康投資を行うことは従業員の活力向上や生産性の向上等の組織の活性化をもたらし、結果的に業績向上や株価向上につながると期待されるからである。
コンバージョン(Conversion)
「変換、転換、交換」などの意味の英単語。 ITの分野ではデータ形式などの変換や、消費者から顧客への転換など意味で用いられることが多い。 Webマーケティング などの分野では、消費者や見込み顧客が、商品の購入やサービスの加入などを行うことを、顧客への転換という意味合いでコンバージョンという。 例えば、 オンラインショップ のWebサイトに訪れた閲覧者が、実際に商品の購入手続きを行うことなどを指す。 どのような行為をもってコンバージョン成立とするかは、提供しているサービスや運営者の意図によって異なり、決済やサービス加入申し込みなどとする場合もあれば、問い合わせや資料請求、メールマガジンの購読申し込みなどとする場合にも使われている。
サイバーテロ(Cyber-terrorism)
インターネットなどを介して行われる大規模な破壊活動、テロ活動のこと。コンピューターにおけるネットワークが攻撃され、重要機関を標的にする場合も多く、社会や国家に悪影響が出ることもある。サイバーテロはサイバー攻撃とも呼ばれ、犯罪行為である。ターゲットにされるのは個人だけではなく、多くは、攻撃対象のサーバーへ不正侵入し、データの搾取や改ざん、破壊といった悪質な行為をする。政府機関だけでなく、大手企業のサーバーなども標的とされる。
サイバーテロの目的はそれぞれ異るが、嫌がらせのためにすることが多く、また、コンピュータースキルを悪用する愉快犯もいる。
サイバーテロの種類として、「マルウェア」「パスワード解析と窃取」「サイトやデータの改ざん」「Dos攻撃」などがある。「マルウェア」はスパイウェアやウイルスソフトなど、悪意があるソフトウェアのことで、サイバーテロの代表例であり、不正プログラムとも言われている。
サスティナブル(Sustainable)
本来は「維持できる」「耐えうる」「持ちこたえられる」を意味する形容詞。今日では、「持続可能な」という意味で使われ、主に自然にある資源を長い期間維持し、環境に負荷をかけないようにしながら利用していくことを指す。
「サスティナブル」の語が社会に知られるようになったのは、2015年9月の国連サミットにおける「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に記載された「持続可能な開発目標(SDGs)」である。SDGsは、持続可能で多様性と包摂性のある社会を実現するための国際目標のことである。➡「SDGs」参照。
サーバーレス(Serverless)
ネットワーク上で運用するソフトウェアやサービスについて、専用のサーバーを用意せず、クラウド事業者が運用する出来合いのサーバー環境の一部を間借りして運用する方式。ただし、サーバーレスとは言うが、本当にサーバー自体が存在しないわけではない。
開発者がアプリケーションをネットワークに公開したい場合、通常は自前のサーバー設備を用意したり、サーバーを貸与するホスティングサービスなどに申し込んで専用のソフトウェア実行環境の導入や初期設定を行い、アプリケーションを配備して実行を開始する。
一方、サーバーレス方式の場合、クラウド事業者に利用を申し込む所までは同じだが、サーバー環境は事業者側で既に運用されており、アプリケーションを構成するプログラムなどを送信するだけで即座に実行を開始することができる。
初期設定や管理、運用などはすべて事業者側が行ってくれるため、契約者は自前のアプリケーション開発に集中することができる。利用料金も従量課金制の場合が多く、配備したプログラムが実行される度に、外部からのリクエスト回数やCPU実行時間などに単価を乗じた金額が請求される。
性能や容量の割り当ても完全に動的に行われるため、利用がなければ費用もかからず、突然の利用増にも瞬時に自動で対応することができる。ただし、開発に用いるプログラミング言語やミドルウェア、APIなどは原則として事業者側に用意されているものしか利用できないため、サーバーをゼロから自前で構築する場合に比べて自由度は低い。
サーバーレス方式のクラウドサービスには、開発したプログラムを関数単位で公開できる「FaaS」(Function-as-a-Service)と、アプリケーションが必要とする機能を、APIを通じて提供する「BaaS」(Backend-as-a-Service)がある。前者としては米アマゾンドットコム(Amazon.com)社の「AWS Lambda」や米マイクロソフト(Microsoft)社の「Azure Functions」、米グーグル(Google)社の「Google Cloud Functions」などが、後者としてはGoogle社の「Firebase」などがよく知られる。
サテライトオフィス(Satellite Office)
企業の 本社 や主要拠点から離れた場所に設置されるオフィスのことを指す。支店や営業所は、拠点だけで業務が完了する機能が備わっており、主に事業の拡大のために設置されるものが一般的で、そのため、従業員が地方の支店に長距離通勤をしたり、単身赴任をしたりすることは珍しくない。
一方、サテライトオフィスは、基本的には従業員の働く環境の確保を目的に導入している企業が多い。例えば、本社から距離がある地域に住んでいる社員にとって、通勤時間の長さは仕事にもプライベートにも負担になっている。サテライトオフィスの設置により、短時間で通勤できるようになれば、ワークライフバランスは保たれ、社員の満足度向上は高まり、優秀な人材の流出も防ぐことにもなる。新型コロナウイルス感染拡大防止のために、オフィスに出社しないで働く「テレワーク」「リモートワーク」を導入する企業は増加しているが、サテライトオフィスで働くことも、テレワークの一種と言える。
サテライトオフィスは、主に次の種類に分けられる。
以上、メリットについては、社員の通勤時間が削減でき、理想のワークライフバランスを維持しやすくなること。プライベートの充実で仕事の満足度が高まり、生産性の向上が期待できる。また、本社の規模を縮小することで固定費を削減できたり、災害時のバックアップ体制をサテライトオフィスで確保しておくことも出来る。デメリットとしては、書類の紛失や暗号化されていないWI-FIを利用した場合の情報漏洩リスク、物品の盗難リスクなどがある。また直接的な社員同士のコミュニケーションが減ることなどもあげられる。個室タイプの利用や、社員同士の積極的なコニュニケーションを心掛けることが必要である。
サブスクリプション(Subscription)
ビジネスモデルの1つで、商品の購入代金やサービスの利用料を毎回請求するのではなく、一定期間の利用権として料金を支払う方式で、定額制課金方式の一種である。契約期間中は定められた商品を自由に利用できるが、契約期間が終了すれば利用できなくなるのが一般的である。日本語では「サブスク」とも略されている。このサブスクリプションは、すでにさまざまなサービスで採り入れられていて、例えばサブスクリプション型の音楽配信サービスでは、一定期間の利用料を支払うと、その期間はサービスに登録されている音楽が聴き放題になるといった方式。また映画作品などをインターネット経由で配信する有料動画サービスでも、月額料金を支払うことで、登録されている映像コンテンツが見放題となるサブスクリプション型が一般的になっている。
サービス・ケア・アテンダント(SCA Service Care Attendant)
一般社団法人公開経営指導協会が実施・認定する資格であり、2002年度から実施されている。サービス・ケア・アテンダントの役割は、お客様や、ご利用者様に配慮したコミュニケーション、お客様の状況を理解したサポート、身体状況に合わせた分かりやすい接客・接遇、店舗や施設のユニバーサルサービスチェックなどがある。ノーマライゼーション(高齢者、障害の有無、年齢や社会的マイノリティといったことに関係なく生活や権利などが保障された環境を作っていく考え方)社会における、ユニバーサルサービスの考え方を基に、単なる介助技術だけでなく、コミュニケーションの手法から人的対応能力に重点を置き、マインド(お客様・ご利用者への気づきと配慮)とスキルを融合した従来の顧客満足から、さらにサービス品質のレベルアップを図るものである。(一般社団法人公開経営指導協会発行パンフレット参照)
ショートムービー(Short Movie)
伝えたいことが視聴者に印象に残るように作られた短尺の動画のことをいい、動画を使ったマーケティングの手法として企業から注目を集めている。その目的は、①認知拡大 ②ブランディング(branding ブランド戦略) ③採用活動などにある。そして企業が発信する動画の中でも、商品説明などに特化したものではなく、顧客対象に向けてブランドのイメージやメッセージを表現し、ブランドイメージを確立させるために制作する短編動画であり、ブランデッドムービー(Branded Movie)とも呼ぶ。売り上げを直接的に増やすのではなく、ブランドイメージを向上させ印象付けることで、間接的なファン層を増やすことを目的としており、いずれもチャンネル登録者数を増やしやすいこと、投稿しやすく動画投稿数を増やしやすいことが挙げられる。
視聴した相手の印象に残る短時間動画を指してはいるが、しかしショートムービーに明確な定義はなく、また再生時間が明確に定められているわけではないが、コーポレートサイト(企業のホームページなど)やYouTubeなどで公開する場合は2分以内(YouTubeショートは最大60秒までの動画が投稿できる)、SNSで配信する場合は1分以内に収められている動画が多い(TikTokは最大3分の動画を楽しめる)。映画業界などで使われるショートムービーはショートフィルムと呼ばれることもあり、20分程度のストーリーテリング(※)を重視した映像フォーマットの1つとして使われる。
※ストーリーテリング(Storytelling)とは、伝えたい思いやコンセプトを印象的な体験談やエピソードなどのストーリーを引用することによって、聞き手に強く印象付ける手法のことである。データや事実をただ連ねて何かを説明するよりも具体的な事例を交える方が効果的であり、抽象的な単語や情報を羅列するよりも相手の記憶に残りやすく得られる理解や共感が深いことから、ビジネスシーンでの活用とともに、企業のリーダーが理念の浸透を図ったり、組織改革の求心力を高めたりする目的で活用するケースも増えている。
情報バリアフリー
情報通信技術の利用・活用のサービスを円滑にできる機会の拡大を図るため高齢者や身障者など身体能力の差異を抱えている人々のみならず、いかなる能力、環境、状況にかかわらず、サービスやコンテンツを利用できるようにすることを目的として行う方策のことをいい、アクセシビリティ(Accessibility 近づきやすく、利用しやすいこと)の確保や文字の大きさ、色合い、音声ガイダンスなどのインターフェイスの充実など、IT分野においてもユニバーサルデザインの考え方が広がっている。
内閣府によると、各省庁においても障害者や高齢者を含むすべての人々が利用のしやすいホームページの構築に向けて、電子的提供の充実に努めているとのことである。
セキュリティ(Security)
危険や脅威から守るための段取りや手段を言うが、ITシステム(コンピューターやコンピューターネットワーク)におけるITセキュリティは、個人、組織(企業など)、国家のすべてのレベルにおいてもITシステムの使用度が増している現在、必要不可欠となってきている。ITセキュリティには、「コンピューターセキュリティ(情報セキュリティの一部で、災害、障害、犯罪、操作ミスなどから保護し、データの機密性、完全性、可用性を保持することをいう。)」「ネットワーク・セキュリティ(内外の不正アクセスなどから守る防衛策のことである。)」「情報セキュリティ(企業や組織の情報資産を「機密性」、「完全性」、「可用性」に関する脅威から保護すること、と総務省説明による。)」などが含まれる。
ゼロトラスト(Zero Trust )
「信頼(Trust)を何に対しても与えない(Zero)」という前提に立ったセキュリティ対策の考え方である。
アメリカの企業が2010年に提唱した考え方で、“社内(ネットワーク内)は安全である”という前提に、境界を守るやり方では守れなくなった現状を踏まえ、すべてのトラフィックを信頼しないことを前提とし、検査、ログ取得を行うという『性悪説』のアプローチである。
企業のクラウドサービス利用の増加、働き方改革によるテレワークの増加、内部不正による情報漏えいの増加、といった昨今のセキュリティが直面する状態に非常にマッチした考え方である。
デジタルツイン(Digital Twin)
IoT(インターネット オフ シングスInternet of Things/従来インターネットに接続されていなかった様々なモノ(センサー機器、駆動装置(アクチュエーター)、住宅・建物、車、家電製品、電子機器など)が、ネットワークを通じてサーバーやクラウドサービスに接続され、相互に情報交換をする仕組み)やAI(人工知能)、AR(アグメンティッド リアリティ Augmented Reality/スマートフォンやタブレット、ARメガネなどのデバイスを通じてデジタルデータを現実世界に重ねて新しい空間を作り出す仕組み)VR(バーチャル リアリティ Virtual Reality/仮想空間を現実世界のように見せることができる)などの技術を用いて仮想空間に物理空間の環境を再現し、シミュレートを行い、将来を予測することに役立つ新しい技術や仕組み全体をさす。こうした特徴から、「デジタル空間の双子」を意味する名前が付けられている。
現実の世界にある物理的な「モノ」から収集した様々なデータを、デジタル空間上に「デジタルコピー」として再現する、デジタルツインを用いると、将来の事象についてデジタル空間で予測をすることが可能となる。
デジタルツインを最初に採用したのは、1970年アメリカ航空宇宙局(NASA)のアポロ13号の月面探査プロジェクト計画で用いられた「ペアリングテクノロジー」だと言われている。宇宙飛行中に酸素タンクが爆発し危機に瀕した際に、地球上のデジタルツインを活用してシミュレーションを実施しアポロ13号の帰還を図ったのだ。
デジタルツインの概念が最初に登場したのは、1991年に米イェール大学のデビッド・ゲレルンター氏が発表した著作 ”Mirror Worlds(ミラー ワールド)” である。
デジタルツインは、製造業、自動車産業、医療、建設業、災害管理、スマートシティ等、従来から3Dデータを利用していた領域で先行して活用が進んでいるが、小売業であっても、ショッピングセンターや店舗での顧客体験をモデル化し、強化するためにも活用されている。また、物流会社やサプライチェーンの管理者が、製品が調達され、購入、消費されるまでの過程をデジタル上で追跡することも可能であり、それによって小売業者は、輸送や製品管理の無駄を最小限に抑えることができるため、顧客満足度を高めることによりコストをかけることが可能になる。
このように、デジタルツインの実用化事例が国内外問わず紹介されている。
デジタルワークプレイス(Digital Workplace)
出社を前提としない働き方で、デジタルツールなどを用いて社員が働く環境をデジタル化し、いつどこからでも同じ環境で作業や情報共有などが行えるようにすることで、生産性の向上や作業の効率化を高める総合的なプラットフォーム(Platform サービスやシステムを動かすための土台や基盤)を構築するという考え方である。
① 場所や時間にとらわれない、多様なワークスタイルをサポートし、生産性を高め、企業価値向上にも寄与する。②Web会議による迅速な意思疎通とチャットなどによる会話で、社内外のコミュニケーションを活発にする。③ゼロトラスト(Zero Trust内外問わず、すべてのアクセスを検証し、必要なセキュリティ対策を講じること)環境であらゆる端末、場所から安全に利用できる。などの特長を持ち、単なる労働環境のデジタル化やテレワークなどとは異なる成長戦略の一環と考えられる概念である。DX(デジタル トランスフォーメーション)推進の第一歩ともいわれている。➡DX(デジタル トランスフォーメーション)
では、デジタルワークスペースとの違いは?
デジタルワークスペース(Digital Workspace)は、個々のニーズに合わせてカスタマイズ(Customize 特別注文の意)されるものであり、組織における新しいツールの導入、役割・任務などの変更など、新しいビジネスプロセスへの発展に伴って変化するものである。
テレワーク
「Tele=離れた」と「Work=働く」を合わせた造語で、情報通信技術を活用した、場所や時間にとらわれない柔軟な働き方のことである。テレワークには大きく分けて下記の3つの種類がある。
「在宅勤務」… 自宅に居ながら、オフィスにいるメンバーとインターネット上で連絡を取り合いながら仕事をする働き方
「モバイルワーク」… パソコンや携帯端末を使って、移動中やクライアント先など、自社オフィス以外の場所で仕事をする働き方
「サテライトオフィス勤務」… 本社・本部から離れた場所に設けられたオフィスで仕事をする働き方
ナレッジワーカー(knowledge Worker)
専門知識や特別な経験を活かして知的生産を行い、企業に新しい価値を生みだす労働者
ニューノーマル(New Normal)
直訳すると「新たな常態・常識」「新しい正常」などという意味である。
2000年代初頭、世界中にネット社会が到来したことによりこれまでのビジネスモデルや経済論理が通用しなくなると考えた、投資家のロジャー・マクナミー氏によって初めて用いられたとされている。
さらに、リーマンショック後の2009年には、エコノミストであるモハメド・エラリアン氏が第二のニューノーマルを提唱し、経済が深刻な金融危機から回復したとしても、根本的な課題解決に至らない限りは元の社会には戻らないと論じた。実際、人々の意識は大きく変わり、資本主義社会から持続可能な社会への変革が進んだ。
そして2020年、新型コロナウイルス感染症が世界中へ拡大したことが、第三のニューノーマル時代の到来であると言える。
ノマド(Nomad)、ノマドワーカー(Nomad Worker)
本来は「遊牧民」や「放浪者」を意味する英語である。ただ近年は「定住地を持たず移動しながら暮らす人」という本来の意味から派生して、「場所や時間に捉われない自由な働き方をしている人達」として使われている。このように働く人を「ノマドワーカー」と言ったり、「ノマドする」のように動詞として使用されている。
かつて、フランスの大統領補佐官を勤めた経験もある経済学者ジャック・アタリ氏は著書「21世紀の歴史」(2006年発刊)の中で、ノマドという言葉を使って「インターネットの発達によりクリエイター階級が時間と場所にとらわれず活躍する時代がくる」と解説している。現代は、まさにこの予言通りの時代が来ていると言える。はるか昔から存在していた「ノマド」という言葉や、その存在、働き方が注目され出したのは、インターネットが急速に発達してきたことによる。しかし、現実にそうした働き方が可能な職種は限られている。そのため、世間一般ではパソコン1台持ってカフェで仕事をしたり、旅行中の飛行機や電車の中で仕事をしたりすることが可能な、ライターやデザイナーなどの個人事業主をノマドと呼ぶ傾向が強い。
また、よくノマドと類似している「フリーランス」は「自分のスキルで企業や個人と契約を交わし仕事をする人」のことである。すなわち、ノマドは主に働く場所や時間が自由、フリーランスは主に働き方が自由、と意義付けることが出来る。ノマドの長所は、働く場所と時間を選ばないため、労働環境を自分好みに改善することが可能で、これにより、本人次第でいくらでも生産性を向上させることが可能である。また、ノマドワーカーは一般的な会社員とは異なり、上司や部下がいない個人事業主として働くことがほとんどで、そのため、人間関係のストレスで悩む機会も減ってくる。これは人によって事情が異るが、基本的にノマドは契約ベースで働くことが多いため、働き方によって収入が増加する。ただし、ノマドは、仕事量はもちろん、交渉、モチベーションなどをすべて自分一人で管理する必要があり、そのため、自己管理能力が欠如している人の場合は、生産性が低下することになることが課題と言える。
働き方改革
近年、少子化・高齢化に伴う人口の減少、労働スタイルの多様化などの課題や変化に対応するためには労働生産性の向上や、従業員満足度向上を実現する必要に駆られている。そういった背景の中、2019年4月1日より(中小企業においては、一部2020年の4月より)、働き方改革関連法案の労働に関する8つの法律が改正、施工された。労働基準法にじん肺法、労働施策総合推進法、労働安全衛生法、労働者派遣法などのほか、労働時間等設定改善法、パートタイム・有期雇用労働法、労働契約法などである。厚生労働省が発表した定義によると、「働く人々が個々の事情に応じた多様で柔軟な働き方を自分で選択できるようにするための改革」とされている。
その内容の一部であるが、①年次有給休暇の時季指定 ②時間外労働の上限制限 ③同一内容、同一賃金 と記載がある。「年次有給休暇の時季指定」とは、法定の年次有給休暇付与日数が10日以上の全ての労働者に対し、毎年5日、年次有給休暇を確実に取得させる必要がある。「時間外労働の上限制限」とは、原則として月45時間・年360時間とし、臨時的な特別の事情がなければこれを超えることはできない。また、臨時的な特別の事情があって労使が合意する場合でも、年720時間以内、複数月平均80時間以内、月100時間未満を越えることは出来ない。「同一内容、同一賃金」とは、同一企業内において、正社員と非正規雇用労働者との間で、基本給や賞与などのあらゆる待遇について、不合理な待遇差を設けることの禁止、など。
また新型コロナウイルスの影響により、これまでの働き方が大きく見直されてもいる。コロナウイルスによる働き方の変化は、感染予防として3密(密閉・密集・密接)を避けるため、出勤時や勤務中のリスクを回避する新しい働き方が増えている。 具体的には、職場に出勤せずに仕事を行うテレワーク(在宅勤務、モバイル勤務、サテライトオフィス勤務)や、ローテーション勤務、時差出勤を採用するなどである。
バリアフリー
障がい者や高齢者等が、社会生活に参加するうえで生活の支障となる物理的な障壁(バリア)や精神的な障害(バリア)を取り除く方法などをいう。障害の有無にかかわらず、高齢になっても、どんな立場でも、安心して自由に生活をするために、建物や交通機関などのバリアフリーだけでなく、一人ひとりが多様な人のことを思いやる「心のバリアフリー」を広げる必要があると、世界中でも提言されている。
ちなみに、物理的なバリアとは公共交通機関、道路、建物などにおいて、利用者に移動面で困難をもたらす物理的なバリアのことで、例えば、路上の放置自転車、狭い通路、急こう配の通路、ホームと電車の隙間や段差、建物までの段差、滑りやすい床、座ったままでは届かない位置にあるもの(エレベーターのボタンの位置)などをいう。店舗においても車いすですれ違うことができない狭い通路や、高すぎるゴンドラにある商品が取れないなど。
精神的なバリアとは、障害がある人に対する無理解、奇異な目で見たりかわいそうな存在だと決めつけたりすることや障害がある人だけでなく、例えば高齢になると見ることや聞くこと、動くこと、伝えることが困難になる人もいる。また、妊娠中の女性やベビーカーなどで小さな子どもを連れて外出する人などは、動くことが困難になる。外国からの入国者などは、日本語の案内板やアナウンスだけでは情報が入手できない人もいるなど、障害のある人たちにとってのバリアは、障害のあるなしに限らず、社会生活や日常生活を送る上でのバリアとなっているのである。
ファシリテーション(Facilitation)とファシリテーター(Facilitator)
ファシリテート(Facilitate)には、本来、「促進する」「容易にする」「助長する」などの意味がある。会社などの組織において、人々の活動が容易にできるよう支援し、うまくことが運ぶよう舵取りして、相互理解を促しながら合意形成し、問題解決を促進する活動を「ファシリテーション」(Facilitation)と言う。そして、ファシリテーションの役割を担う人を「ファシリテーター」(Facilitator)と呼んでいる。会議で言えば進行役に当たる。
ファシリテーターは、会議において二つのプロセスに関与する。一つは、会議の目的を達成するための進行・運営などの、段取り、進行、プログラムといった外面的なプロセスである。今一つは、参加者の思考や心理に関与しながら、合意形成に至るよう促すプロセスである。メンバー一人ひとりの考え方や筋道などの思考的なプロセスや、感情の動き、メンバー同士の関係性などの心理的なプロセスでと言える。チーム活動を円滑に進めるには外面的なプロセスが大切だが、成果や満足感を左右するのは内面的なプロセスが重要である。集団活動の中では、メンバーの考え方の枠組みやさまざまな思いがぶつかりあって、感情も関係性も常に変化している。変化するからこそ、新しい考えが生まれたり、対立している人と合意形成が出来てくる。まさにこれこそがチーム活動のダイナミズムであり、ファシリテーターは両方のプロセスに関わることで、人と人の相互作用を促進していると言える。
ファシリテーターという言葉が使われ出したのは1960年代のアメリカで、体験学習などで参加者に働きかける技法として用いられたとされる。その後、企業の会議進行に応用され、広く認知されるようになっている。従来、日本の企業では、強力なリーダーが縦割り組織を率いるのが効率的とされて来た。しかし、近年は組織を構成する従業員の多様化が進んでいることもあり、権威的に組織をけん引するよりも、チームの和を生み出すリーダーシップが求められるようになっている。こうした背景から、個の価値観や考えを尊重しながら、同じゴールへと誘導するファシリテーターの存在は、会議の場だけにとどまらず、組織運営に必要不可欠な存在になっているものである。
フードテック(Food Technology)
「フードテック」とは、「食のフード」(Food)とテクノロジー(Technology)を組み合わせた造語。「フード」と「テクノロジー」を融合させ、最先端のIT分野(IoTやICT等)を活用して、食を取り巻く次世代型の商品やサービスの可能性を広げていくことである。既に政府は、フードテックを成長産業として支援していくことを決めており、農林水産省や民間企業で作る協議会を発足させ、「品質を保証するための基準作り」を開始している。今後日本の「伸びる業界」として、「景気回復策や求人・雇用拡大」にも期待されている。
フードテックの大きな理由としては、まず「世界の人口増加に伴う食糧不足・栄養不足」等が挙げられる。フードテックの活用で食糧危機への対策にもつながっていき、新たな成長分野として経済への貢献や求人・雇用を生み出す観点で期待されている。
加えて、食の安全を守ることもフードテックが注目されている理由の1つである。「食中毒の防止や傷んだ食品・食材を誤って食べてしまう」リスクを改善する、「傷みにくい食材」を作ることなどもフードテックの分野に含まれる。また、最新テクノロジーを活用して「異物混入を防止する新たな仕組み」や「長期保存可能なパッケージ開発」等も開発が進んでいくことになる。さらに、国内の課題として、農業や漁業といった第一次産業に従事する人が減っている状況や、外食産業や食品加工・食品製造業の分野でも労働者不足が課題となっており、IoT技術・ICT技術といった最新テクノロジーを活用して生産効率を高めていく事が求められている。例えば、「スマート農業」もその一つで、今までは生産者の経験値頼みだった知識や技術をデータ化し、「誰でも出来るようにする」「育ち方を安定させる」ことを実現し、農業生産者が安定収入を得られるようにする。そうすることで農業に携わる人が増えていき、「商売として成り立つ成長分野」として参入する企業も増えていくことになる。
調理の分野でも「電子レンジ」の進化が挙げられる。自動調理機能が付いた電子レンジは既に登場しているが、最近はスマートフォンと連動させ「レシピ検索」や「調理設定」ができるオーブン等も登場している。電子レンジといった調理器具だけではなく、調理・料理を科学的に分析することで「失敗しない料理作り」に近づいている。この技術が外食産業の労働者不足や、食品加工製造の労働者不足の課題解決にもつながっていくことになる。
フードテックの分野では、「代替肉(豆など植物由来の原材料で作り、健康的にも優れた食品とする)」や、「陸上養殖(自然界の環境を活用して養殖するのではなく、陸上の水槽等を活用して効率的・安全に魚を育てる)」など活動範囲が広い。すなわち、以上のように、今までは関係ないと思われていた食の領域×IT分野等の組み合わせで、従来にない生産方法が登場していることである。そして、・生産者の担い手不足、・人口増加における食糧危機や食糧不足への対策、・食の安全、・フードロスへの取り組み等に大きく貢献することが期待されているものである。
マクロ言語
市販の表計算ソフトやワープロソフトなどのアプリケーションソフトにおいて、よく行う操作手順をあらかじめ登録し、必要なときに自動実行させる簡易プログラミング言語(スクリプト言語)のことをいう。文書内の複数の箇所や複数の文書に同じ操作を行わなければならない場合などに、一連の操作をマクロとして登録しておけば、マクロを呼び出すだけで記録した操作を自動的に実行してくれる。そのため、パソコン操作のテクニックとして紹介されることもある。マクロ言語は、ソフトウェアによる独自のものもあれば、「(WSH)Windows Script Host」を利用するなどしてスクリプト言語をマクロ記述に使えるようにしている場合もある。また、マクロとスクリプト言語による拡張(スクリプティング)を用語として区別しているソフトウェアもある。
なお、マイクロソフトの「(VBA)Visual Basic for Applications」はマクロと混同されやすいが、マクロを作成したり編集したりする専用アプリケーションのことを指すので、マイクロソフトが開発したプログラム言語の「(VB)Visual Basic」の仕様を基本に、ExcelやWordなどのアプリケーションで使用するマクロ言語としてカスタマイズ(システムやソフトウェアの機能などを設定し直すこと)されたものであり、厳密にいうとマクロとは異なる。
見える化(Visual Control)と可視化(Visualization)
「組織力を高めるために業務の可視化を!」や「経営の見える化で業務改善を!」とよく耳にするが、同じような意味で使われることの多い「可視化」と「見える化」、まず、可視化と見える化は同一意味なのか?
「可視化」 … そのままでは目に見えないものに形を与えて見やすい状態にし、見れるようにすること。例えば売り上げや社員のスキルをグラフ化したりなどがある。
「見える化」 … 企業や組織における財務、業務、戦略などの活動実態を具体化(可視化)し、可視化された問題点を客観的に捉えられるようにし、その対処の判断基準が常に組織内で共有され、問題や課題に対する改善のためのフィードバックやアクションが繰り返し継続的に行われていく状態にあることである。
この見える化を具現化したのが、トヨタ自動車株式会社の生産ラインに設置された「アンドン」である。生産ラインの異常を知らせる通知ランプを設置し、ランプの色によって異常の発生とどのような種類の異常かを瞬時に「みんなに見える」ようにし、作業員全員がすぐに異常の発生と種類を感知できるようにした。このアンドン方式は、「目で見る管理」とよばれ、そして生産現場における「見える化」の原点といわれている。ちなみに、見える化という表現は、1998年にトヨタ自動車の岡本渉氏が発表した「生産保全活動の実態の見える化」という論文においてである。今や「見える化」はビジネスシーンでは必須のワードである。
メタバース(Metaverse 仮想空間・バーチャル空間)
メタバースの空間とは、コンピューターグラフィック(CG)で表現されたバーチャル空間(3次元の仮想空間)のことであり、現実を超越した(meta)どこまでも広がる空間-宇宙(Universe)を組み合わせた造語をメタバースという。仮想空間の中で相互に意思疎通(コミュニケーション)しながらゲーム、ライブ、ショッピングや商品の製造・販売といった経済活動を行なったり、もう1つの現実として新たな生活を送ったりすることが想定されている場所がメタバースであり、自身を投影したアバターで入り、その姿でコミュニケーションを楽しむこともできる。
すでに多くの企業が参入し、大きな盛り上がりを見せている。まだまだ発展途上であるが、今後世界的大企業の大型投資が始まり、より開発のスピードが加速していくであろうとも言われている。
VR(ヴイアールVirtual Reality バーチャルリアリティ)との違いは?
VRとは、仮想現実と訳され、まるで現実にいるかのように自由に動いたり活動したりすることのできる技術の総称を指す。
VRは「現実のような体験をできる技術」、メタバースは「人々が交流できる仮想空間」に重点を置いた言葉になるため、両者は共存することもありVR技術を使ったメタバースも存在する。
NFT(エヌエフティ―)との関連は?
Non-Fungible Token(ノン-ファンジャブル トークン)の頭文字を取ったもので、日本語で「非代替性トークン」という意味である。NFTと共によく耳にする「仮想通貨」は「代替性トークン(FT)」と呼ばれている。
ちなみに、NFTの非代替性のもの(替えが効かない唯一無二のもの)とは、著名な画家が描いた原画、直筆サイン入り書物、世界に1枚しかないトレーディングカード等々で、FTの代替えとは、お金、市販品、フリー素材のイラスト、電子上の画像等々。つまりNFTは替えが効かないトークンということである。〔※トークンとは、ブロックチェーン技術(データベースの一種で、データの改ざんや不正利用が非常に困難で、安全にデータを記録できる技術である。取引情報をブロックと呼ばれる塊ごとに記録し、そのブロックを時系列順に鎖のように連結して保管するのでそう呼ばれる。)を使用して発行した暗号資産の総称をいう。〕
ユーザビリティ(Usability)
ユーザビリティとは、「Use」と「Ability」を掛け合わせた言葉で、日本語では「使いやすさ」「有用さ」などと訳される。
利用者にとって、機器やソフトウェア、Webサイトなどの使いやすさ、使い勝手のこと。利用者が対象を操作して目的を達するまでの間に、迷ったり、間違えたり、ストレスを感じたりすることなく使用できる度合いを表す概念である。また、Webにおいても同様で、閲覧者が必要とする情報により簡単にアクセスできることが求められる。
消費ニーズが多様化しユーザーの目が肥えている現代では、単に「機能が多い」「安い」という訴求だけではなく、ユーザーにとっての利便性を重視した製品・サービスでなければ価値は低い。そこで「ユーザビリティ」が重要になってくる。
例えばクラウドサービスを利用したときの「使いやすさ」「わかりやすさ」「見やすさ」などは、ユーザビリティの高さにつながる。またWEBサイトを閲覧した際に「クリックしやすさ」「表示されるスピードの早さ」「知りたい情報が掲載されている」なども、ユーザビリティが高いと言える。
このように製品・サービスを開発・提供する際には、ユーザビリティは欠かせない要素であり、購入や解約率低下などにもつながるものである。
ユビキタスネットワーク(Ubiquitous Network)
ユビキタス(Ubiquitous)とは、いつでも、どこでも、ほしい情報が得られ、大量の情報を交換でき、誰もが利用しやすい環境を作ることを言う。ITの世界では、コンピューターがネットワークにつながっていれば、使いたい時に、場所を選ばずに利用できることなどを表す用語として、ユビキタスが使われている。
現在は、高速なモバイル通信を可能にする通信インフラが整備されていて、気軽に持ち運んで利用できるコンピューターとしてスマートフォンやタブレット端末が普及したことで、場所を問わずにインターネットを利用し、必要な情報の取得やサービスの利用が可能な環境が実現されている。
さらにクラウド・コンピューティングの普及も、ユビキタスの実現において大きなポイントと言える。例えばクラウド上に業務で利用しているファイルを保存しておけば、必要な時に、その場でクラウド上のファイルにアクセスし、内容を参照したり編集したりすることが可能である。
今後はあらゆるモノがインターネットに接続されるIoTの考え方などが広まり、社会課題の解決や人にとって、より便利な社会の実現に向けた動きが加速することが想定される。
ランサムウェア(Ransomware)
パソコンなどをウイルス感染させて操作やファイル読み取りを不可能にし、復元する方法と引き換えに金銭を要求するメッセージが表示されるソフトウェアの総称。その特徴から「身代金型ウイルス」とも呼ばれる。メッセージに従い送金しても、復元される保証はなく、さらに金銭を要求される場合もある。最新のセキュリティーソフトを使う、怪しいメールやWebサイト、USBメモリを不用意に利用しないなどが予防法になる。
リージョン(Region)
地域・範囲などの意味で、仮想サーバー(1台のサーバーを仮想上複数のサーバーとみなして稼働させる仕組み)やストレージ(HD、CD、DVDなど、パソコンのデータを長期間保管しておくための補助記憶装置)、Web会議システムをはじめとしたソフトウェアなどの機能を、クラウド サービスで利用するデータセンターが設置されている所在地のことを指す。いわゆるクラウド サービスのバックグラウンドともいえる。クラウド サービスを提供している GoogleやAmazon、Microsoftなどの各事業者それぞれが独自に区分している地理的範囲がリージョンに当たる。
では、リージョンとゾーンは同じ概念か?
ゾーンとは、各リージョン内において独立した運用区画のことを指す。ベンダーによって呼び名が異なる場合があり、ゾーンのことをアベイラビリティ ゾーン(AZ)と呼ぶクラウドサービスもあるが、同じ概念である。
リモートワーカー(Remote worker)
リモートワーカーとは、直訳とおりリモート(遠隔)でワークする(働く)の造語で、オフィスに通勤せず、自宅やサテライトオフィスなど、会社(職場)とは離れたところで仕事をする人のことである。働く場所がオフィスか遠隔地かにフォーカスしている。契約や社内規定の範囲であればカフェやサテライトオフィスなどで働くことも含まれる。
リモートワークが可能な職種は、プログラマーやSE、ライターや編集者、デザイナーやイラストレーターなどといわれているが、感染症拡大の影響でテレワークが普及したことにより、その他の事務系職種の間でもリモートワークをする人が増えたようだ。
併せて、テレワークという似た働き方があるが、リモートワークと同義語として扱うのが一般的のようである。
また、総務省によるテレワークは大きく3つに分けられる。「在宅勤務」「モバイルワーク」「サテライトオフィス勤務」である。
では、ノマドワーカー(Nomad Worker)とはどう違うか?
リモートワーカーは働く場所がオフィス以外でも、本来の拠点はあくまでもオフィスにある。半面、ノマドワーカーの「ノマド」は、遊牧民、放浪者などの意味を持ち、特定のオフィス・拠点を持たず、場所を転々としながら働く人といわれており、時間・場所・オフィスなど何事にも縛られないという特徴がある。そこがリモートワーカーとの違いである。➡ノマドワーカー(Nomad Worker)参照
SOHO(Small Office Home Office スモールオフィス ホームオフィス)、HOHO(His Office Her Office ヒズオフィス ハーオフィス)〕とは、どう違うか?
いずれも総務省のページにも紹介されているが、個人事業者・小規模事業者等が行うテレワークといえるであろう。
レジリエンス(Resilience)
レジリエンスとは、「回復力」「弾性(しなやかさ)」を意味する単語(名詞で、レジリエントは形容詞)。もともと、「物理的な外の力からのゆがみを跳ね返す力」という意味で、物理学で使われる言葉だったが、心理学(心の回復力(精神的な強さの指標の一つ)を説明するもの)に転じて使われるようになった。
「レジリエントな社会、企業」「レジリエントな組織づくり」「レジリエントなインフラ構築」といった使い方がされるが、レジリエントな企業とは、災害や不況、危機などの逆境を柔軟に受け止め、跳ね返す力をもち、強靭な企業体制を構築して成長し続ける企業のことを指す。近年、サステナビリティへの関心の高まりとともに注目されている。サステナビリティとは、「持続可能性」という意味で、企業においては、目先の利益を追い求めるのではなく、自然環境や社会システムの維持にも目を向けようという考え方や活動を指す言葉。
ビジネスにおいてのレジリエントな人は、仕事における強いストレスをなかったことにするのではなく、ストレスに直面した際、受けとめ、跳ね返す、適応する力、さらに困難な状況でも、パフォーマンスを上げるだけでなく、ワークライフバランスの改善も期待できる人のことを指す。併せて、論理療法の中心概念として、「ABC理論」と「A-C理論」が論じられる。
ABC理論とは、出来事(アクティベイション イベント Activating Events)を、どのように受け取るか、思考・信念・考え方(ビリーフBelief)によって、結論(感情・行動(コンシクエンス Consequences)が決まるという理論。最終的に生じる感情・行動・結果は、認知・思考・解釈が異なれば違いが生じる。つまり、同じ出来事でも解釈によって、受け取り方が変わり、ポジティブにもネガティブにも変わるということ。アメリカの臨床心理学者であるアルバート・エリス(Alvert Ellis)氏が1955年に提唱した理論である。
また、A-C理論とは、出来事と感情の間に解釈が存在せず、直結していると考える理論で、解釈の概念が存在しないため、意識することによって感情をコントロールできない。自分で変えられる要素がないため、状況によって受け身となってしまう。
ネガティブな心理状態のとき、ABC理論を思い出すことが、少しずつ普段の自分を取り戻すためのきっかけとなるかもしれない。
近年、国内外でのビジネス競争が激化し、変化の激しい事業環境下、メンタル不調者が増えるにつれ、このような不可避であるストレスの影響に対する予防要因や緩衝要因としてレジリエンスに注目が集まっている。
レガシー(Legacy)
英語で「遺産」「形見」を意味する名詞。本来は「亡くなった人が残した財産」を意味するが、派生的に「過去から引き継いだもの」「未来へと引き継いでゆくもの」の意味で使われる。
五輪開催で注目された「オリンピック・レガシー」は、五輪を開催した国に長期的に残る良い影響を指す。逆に「時代遅れ」といったマイナスの意味もあり、IT業界では古くなったコンピューターのシステムや技術を指して「レガシーシステム」と呼ぶことがある。
ワーケーション
ワーク(仕事)とバケーション(休暇)を組み合わせた造語。観光地やリゾート地に長期滞在して仕事をする新しい働き方のことである。仕事のストレスが解消され、生産性が向上するといった利点がある一方、仕事と休暇のバランスがあいまいになり、時間管理や労務管理が難しいとの指摘もある。ワーケーションの誘致に乗り出す地方自治体や観光地が多くみられる。
ERP(Enterprise Resource Planning 統合基幹業務システム イーアールピー エンタープライズ リソース プランニング)
直訳は「企業資源計画」。企業のもつ資源「ヒト(人事管理)」「モノ(在庫管理)」「カネ(販売管理)」そして「情報」を一カ所に集めて管理し、計画活用する考え方やシステムを指す。企業の主要な業務を遂行するのに使われる複数の基幹業務システム(生産管理・販売管理・在庫管理など)を有効活用するために統合、一元管理することであり、「統合基幹業務システム」とも呼ばれる。
もともと、MRP(資材所要量計画 エムアールピー Material Requirements Planningマテリアル・リクワイアメンツ・プランニング 原材料から製品を作り上げるまでの、資材の流れを管理するシステム)から派生した考え方、システムであり、情報を一元管理することで、企業全体の状態をリアルタイムで把握することができ、円滑な経営判断を可能にしてくれるツールである。
FAQ(エフ・エイ・キュー Frequently Asked Questions フリークエントリー アスクド クエッションズ)、Q&A(キュー アンド エー or キュー エー Question & Answerクエスション・アンド・アンサー)との違いは?
Q&A「質問と回答」は、過去に問い合わせがあった質問とそれに対する回答を掲載するなどであるが、基本、ひとつの質問に対してひとつの回答を掲載する。また、尋ねられる可能性が高い質問を想定している場合も多い。
FAQは「頻繁に尋ねられる質問」という意味で、利用者が知りたい情報をQ&A形式で提供する形態のことでホームページなどでは「よくある質問」と表記されている場合が多い。想定される質問の内容と共に、それに対する回答が簡潔にまとめられている。ちなみに、Q&Aが整理されたページをFAQページ、Q&Aを簡単に作成・整理するソリューション(solution 問題や課題を解決・解明する方法)をFAQシステムと呼んでいる。
FAQは情報でありナレッジ(Knowledge 事例や経験、付加価値のある知識)であり、どのようなFAQを提供するかによってCS(顧客満足度)の向上に繋がるため、価値あるFAQサイトを構築することは重要である。
OS(Operating System オペレーティングシステム)
OSとは、機器の基本的な管理や制御のための機能や、多くのソフトウェアが共通して利用する基本的な機能などを実装した、システム全体を管理するソフトウェアの一種である。つまりOSとはコンピューター全体を制御して、ユーザーが使いやすくするためのシステムであり、「ソフトウェアとハードウェアを仲介する」という重要な役割を担っている。
例えば、パソコンでドキュメントを作成する場合、メモ帳などの「ソフトウェア」を使うとすれば、ドキュメントを保存するためには、ハードディスクなどの「ハードウェア」に記録しなければならない。そこで重要な役割を果たすのがOSである。作成したドキュメントは、OSがハードディスクに保存。そして保存したドキュメントを開いて閲覧できるのも、OSがハードディスクから読み込んでくれるためである。キーボードを押してメモ帳に文字が入力されるのは、実はOSがキーボードの操作内容をメモ帳に伝えてくれているからで、OSの存在があるからこそ、ユーザーはハードウェアを意識することなくソフトウェアを使えることになる。
パソコン向けのOSとして、広く利用されているものにはMicrosoft社のWindowsシリーズやApple社のMac OS Xなどがあり、企業などが使うサーバー向けのOSとしてはLinuxなどのいわゆるUNIX系OSや、Microsoft社のWindows Serverシリーズがよく使われる。スマートフォンやタブレットなどでは、Google社のAndroid OSや、Apple社のiOSが用いられることが多いが、スマートフォンを制御している「iOS」や「Android」もOSの一種である。
SDGs(エスディージーズ Sustainable Development Goals サスティナブル デヴェロップメント ゴールズ)
「持続可能な開発目標」という意味であるが、2015年「国連持続可能な開発に関するサミット」の中で「持続可能な開発のための2030アジェンダ」が採択され、SDGsの17の目標が示された。「持続可能」とは将来の世代のための地球環境や資源が守られ、今の状態が持続できることであり、「開発」とはすべての人が安心して、自分の能力を十分に発揮しながら満足して暮らせることを指す。2030年までの15年間で達成することを目指して、世界は2016年から取り組みを始めている。
17の目標とは、
SDGsで掲げる17の目標のキーワードは「人間People」「繁栄 Prosperity」「地球Planet」「平和 Peace」「パートナーシップ Partnership」の5Pであり、持続可能な開発に向けて世界の国々が協力し、世界中の誰もが平和で豊かな暮らしを実現するため、国や男女の差による不平等をなくし、地球環境に配慮しよう!といった内容である。
YMYL(Your Money or Your Life 人々の幸福、健康、経済的安定、安全に影響を与える可能性のあるページ)
ネット社会の拡大により情報アクセス・発信が簡便になった今日の状況にあって、情報の信頼性確保のために、Googleが検索品質評価ガイドラインに追加したのが「YMYL」である。YMYLとは、医療や法律、時事問題など人々の人生に影響を与えるジャンルを指している。専門的な分野にあって、信憑性の低い情報を発信されたとすれば、閲覧したユーザーの人生に、経済的または身体的な悪影響を及ぼす可能性が高い。そこでGoogle社は、検索品質ガイドラインに新たな項目として、YMYLを加えたものである。
YMYLがガイドラインに加えられた背景には、これまでに、信頼性の低いネット上の情報によるさまざまな問題が起きたことにある。特に医療情報にあって、専門的な知識のないライターが信憑性に欠ける記事を掲載して、批判を浴びた例もある。そこで、Googleはガイドラインの項目に「YMYL」を追加し、人々の健康や人生に大きな影響を与えるジャンルに関する信頼性のないコンテンツが、簡単に上位表示できないようにしたものである。
検索品質評価ガイドラインによると、対象分野は、金融情報、医療情報、法律情報、時事問題、ショッピング、人権問題などで、これらの情報は経済面や健康面において、人生に多大な影響を与えるため、ほかの分野よりも高い信頼性が要求されてくる。それぞれの対象分野を見てみると、
そして、Googleの評価基準の中でも、特に重要視されているのが「E-A-T」と言える。
E-A-Tとは、Expertise(専門性)、Authoritativeness(権威性)、Trustworthiness(信頼性)からなる3つの評価基準の頭文字を取った言葉で、Googleが独自に定めた良質なウェブサイトを評価する基準を定めたものである。
すなわち、「E-A-T」が備わっていないコンテンツは、検索上位から外れるため、YMYL関連のWebサイトを運営する場合に見過ごせない項目と言える。信頼性とは、信頼に値する情報や運営者であるかどうかを重視するものである。例えば、ビジネスに関する情報では、厚生労働省など公的機関の情報が重視される。それ以外にも、運営者や記事作成者のプロフィールを明記することが信頼性の獲得につながる。そのためにも、情報を発信する側は、Webサイトを上位表示させるためにはSEO対策が欠かせない。正しくSEO対策を行うことで、自社サイトのコンテンツを上位表示させることになる。
SEO対策としてまず重要視すべき点は、当然、サイト全体の情報を充実させることである。具体的には、サイト運営者の情報、問い合わせフォームや利用規約など、ユーザーとして訪れた際に、サイトにどういう情報があれば安心できるか考え、それを反映することにある。いわば、ユーザーファーストが第一の条件。ユーザーは、自分の悩みや問題に対する答えを探すために情報を検索している。そのため、コンテンツ作成ではユーザーの悩みや問題を解決できる記事を作ることが重要。また、内容が充実していたとしても、読みにくいコンテンツでは高い評価を得られない。誰が読んでも理解できるよう、ユーザーファーストを意識してのコンテンツ作りが肝心である。
記事の専門性を高めるためには、専門家による監修も重要となる。誤った情報発信を防ぐことができ、コンテンツの信頼性も確保出来る。ライターであっても、執筆者を明確にして提供側の情報を充実させることが大切である。また、引用や参考元には、確実な公的な情報を選ばなければならない。さらに、特にYMYLの対象分野は、情報が頻繁に変わるものも多いため、常に最新の情報を発信することが重要であることは言うまでもない。このように、コンテンツ作成に当たっては、多くのユーザーに閲覧してもらうにはSEOの上位表示が必定であり。YMYLについて認識を高めることが肝心である。
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2022年8月31日
責任者 会長 安達昌人