令和4年(2022年)4月11日
一般社団法人日本POPサミット協会
会長 安達 昌人
今年初めて、「青大将(アオダイショウ・蛇)」に出会いました。
渋谷へ行った折にJR原宿駅で途中下車し、表参道口を出て、桜が満開の「代々木公園」に向かうゆるい坂の、片側の斜面の草むらに、緑がかった灰褐色の蛇腹の模様の姿態が見えました。温暖な日々だったので、早めに冬眠から抜け出したのでしょう。
穴を探して、下方や上方に頭を巡らし、その度に体の向きを変えていましたが、結局は、進行方向を上方の穴に決めたようでした。身長は1m以上なので、成人した蛇でしょう。
青大将は、カエル、トカゲ、ネズミなどを食餌にするのですが、この辺りにはそうした小動物が棲息しているのでしょうか。
以前に沖縄や台湾などで見た「ハブ」の、三角形の角張った頭部や鋭く細い目に比べると、青大将の頭は楕円球形で、丸くてやさしい、利発そうな目をしています。
子供の頃は、田舎には石垣や泉水が多く、青大将をよく見かけました。庭を跳んで逃げるカエルを追いかけて捕獲し、くわえた獲物を脚からだんだんに頭の方へと回して、キーキーと鳴くカエルを飲み込んでいく恐ろしい光景を、ドキドキしながら観察していた記憶があります。獲物を飲み込んだ後は、縄のような体の一部が、コブのように膨らんでいました。
また、ネズミを退治してくれるということで、天井の梁に青大将が住んでいて、守り神として大切にしているという大きな屋敷もありました。
しかし一般には、蛇は昔から怖がられ、まさに蛇蝎のように嫌われて来たようです。
何故か? マムシなど毒蛇のイメージからの恐怖感があるのでしょう。
そして、手足でなく、体をくねらせて進む、いわゆる蛇行(だこう)が不気味です。
さらに、地球に生命が誕生して、水中に入って魚類、イモリなどの両生類、爬虫類、哺乳類へと、生物が進化していく過程で、蛇はその筋道にない、まったく異世界の生物であり、別の宇宙から来たのではないか、それが背筋をぞっとさせる違和感を生むという説もあり、かもありなんと思わせます。
西洋でも、蛇はアダムとイブをそそのかした悪者でもあり、またある時は知恵者であり、神殿・神像の装飾にも見るように神聖化されるなど、特別な存在であることは確かです。
ところで、爬虫類専門のペットショップを調べてみると、青大将(Japanese rat snake)も売られていますが(6,000円前後)、大人しく無邪気で、慣れれば純情だとのことです。感触もジメッとした感じでなく、サラッとして心地よい様子。
昔、神社の祭礼の際に見世物小屋が建ち、巨大なニシキヘビを首や体に巻きつけてて演じる妖艶な美女の芸人が登場しましたが、蛇は賢くてよくなつく可憐な動物なのでしょう。
さて、都心で一番広い空が見られるという代々木公園の桜は満開で、ソメイヨシノが中心ですが、カワヅサクラ、オオシマザクラも咲き、自分の好きなヤマザクラも観られて、心和むひとときを過ごすことが出来ました。
・蛇腹の模様の青大将の胴体。頭はどちらだったっけ?
・青大将の楕円球形の頭部と、
丸くて賢そうな目。
・気品の高いヤマザクラの一枝。
・代々木公園の満開のソメイヨシノ。黒い樹木と白い薄紅色の花のコントラストが格別。