一般社団法人日本POPサミット協会
会長 安達昌人
皆さんこんにちは!
先般は、第20回「POPサミットin東京2018」を、会員各位のご協力により、円滑に実施することができました。その折には、元気な皆さんを拝見して、たいそう嬉しく感じました。
第1日目の沼澤卓也氏、伊賀公一氏の有意義なセミナーは、皆さんに大いに役立つ内容であったことと思います。その夜の懇親会には、POP業界の大先輩の中山政男氏も駆けつけて頂き、大いに盛り上がって楽しい一夕となりました。
第2日目の櫻井幸子氏の体験に基づく講演も、タイトル通り柔軟な感覚で生きることの素晴らしさを教えてくれるものでした。本当に充実した大会であったと感謝しております。
さて、櫻井氏のお話の中で「ほめる」というキーワードが出ていましたが、今回は、この「ほめる」について触れてみたいと考えます。「ほめる」には「誉める」「褒める」の漢字があり、「誉める」は例えば受賞などの優れた栄誉をたたえること、「褒める」はふだんの日常的な優秀さを賞賛することで、ここでは後者ということになるでしょう。
かつて、週刊朝日の名編集長として鳴らした扇谷正造の著書「聞き上手、話し上手」に「3ホメ」という言葉が出てきます。例えば昔は、他所の家を訪問した時には、住まいの造作を褒める、ご主人が大切にしている壺や書画などを褒める、ペットや子供など可愛がっているものを褒めるなど、そのどれかを探して褒めて相手の優越感をくすぐれば、人間関係の潤滑油となり、その後の話がスムーズに進むという訳です。
ただし、本当に褒められて嬉しいのは、その人の知識や教養であると著者は言っていますが、けだし当然のことでしょう。
「ほめる」は接客の研修でも課題とされますが、お客は着ている服やバッグなど褒められて悪い気はしないものの、いつも褒められてばかりでは、普段着でお店に行けなくなってしまいます。「よいしょ」などの言葉もありますが「べた褒め」は気味悪いもの。むしろ、何か意見を言った時に「よくご存じですね」とさりげなく言われた方がはるかに嬉しいものです。
日本で心療内科の基礎を築いたとされる池見酉次郎の著書「心療内科」に「ストローク」という言葉が使われています。「ストローク」とは、本来は撫でる、さするという意味で、一つには水泳で腕をかいたりする動きにも使われます。ちなみにPOP広告のレタリングでマーカーの運筆を「ストローク」と、私はテキストに使ったことがありますが、あながち間違いではないようです。
もう一つの意味は、言葉や身振りで相手に働きかけることで、コミュニケーションの基本単位となるものです。つまり「ストローク」は「存在を認める行為」で、褒める、微笑みかける、握手するなどは相手に向けられる肯定的ストロークです。
「ストロークなしでは人間は生きていけない」とまで、池見酉次郎は書いていますが、人間は誰でも、常に自分の行為や存在を認めてほしいという願望を持っています。そこで重要なストロークである「褒める」は、単に相手の優越感をくすぐるのではなく、「心の交流」を創り出すということになるようです。
ただし、褒め方は実に難しいものです。美術の教師は、子供の描いてきた絵を一瞥して、すぐに「いいね」では失格。じっくりと隅から隅まで見て、特に優れた点を褒めます。POP広告の評価やアドバイスも同様でしょう。
余談ですが、いろいろと調べていたら「いい男が知っている女性を褒める3つのコツ」という記事がありました。
1、「仕事ぶり」に注目して褒める。~「普通はその仕事はできないよ。貴女は努力家だね」(自分は必要とされているのだ、頑張って良かった、と思わせる。)
2、外見ではなく「内面」を褒める。~「○○さんが貴女のこと褒めていたよ。気配りができて素晴らしいね」(周りの人に評価されているとさりげなく伝える。)
3、持ち物ではなく、女性の「センス」を褒める。~「その色合い、春の季節にぴったりだね」(身につけているアクセサリーや小物を褒めることは多いが、一歩先を行く褒め方が大切のよう。)
以上は、いずれもしごく当たり前のことでしょうが、女性心理にうとく、ついセクハラの舌禍を招きやすい私は、参考にしようと思います。
ついでに、男が喜ぶ褒め言葉「さしすせそ」は良く知られています。
「さすがですね」「しらなかった」「すご~い」「センスいいですね。」「そうなんですか」など。
反対に男を傷つけるダメ言葉が「たちつてと」とされています。
「たいしたことないわ」「ちがうんじゃない」「つまんないね」「てきとうでいいんじゃない」「とんでもない」など。
男はプライドの高い生き物です。褒められれば有頂天になり、傷つけられればひどく落ち込みます。ということで長文になりましたが、「ほめる」についての所感でした。
皆さんも「ほめる」スキルを高め、プライベートにビジネスに上手く活用して頂きたいと思います。
以上