一般社団法人・公開経営指導協会の機関誌「公開経営」の7月号に、常任理事の村岡敏朗様が「巻頭言」を書かれています。タイトルは「店づくりは人づくり~生涯学習について~」。
村岡様によると、文部科学省では「生涯学習の理念」の実現を資して社会通信教育の普及奨励を図り、現在、民間112講座が認定を受けていて、公開経営指導協会の「POP広告実技講座」もその一つであること、そして、同省が年に一度、認定講座を優れた成績で修了した人たちを表彰し、「文部科学大臣賞」を授与して、社会通信教育の振興を図っていることを記された後、次のように書かれています。村岡様の了承を得て、ここに引用させていただきます。
「先日、文部科学省において、平成27年度の上記の文部科学大臣表彰式が行われ、列席して参りました。本会の受講者からは、『POP広告実技講座』修了者の内、全国で最も優秀な成績を収められた高知県在住の女性が受賞されました。」
「本講座は、本会が実施している『POP広告クリエイター技能審査試験』対応コースで、POP広告について、単なるレタリングに留まらず、販売促進に加えて、お客様とのコミュニケーションツールとしての知識と技能を習得し、売場の活性化、利益改善に寄与することを主眼としています。」
「受賞者の方に、『POP広告実技講座』を受講した理由を伺ったところ、地元の食品スーパーで働いておられ、お店において本日の“お勧め商材”をタイムリーにお知らせしたい、季節感を添え、タイムリーな商品情報をお客様に手書きPOPでご提供する技術を学びたい、と思われたのがきっかけとなったそうで、現在では日々の売場の活性化に生かされているとのことでした。」
さらに続いて、受賞者の方が、この賞によって、今後も学習をしていこうというモチベーションが高まり、一緒に働く仲間にも学習を勧めて行きたいと、感想を述べられていることも、村岡様は記述されています。
自己啓発としての通信教育の効用とともに、まさに、現場で生かされる手書きPOP広告の手応えを感じます。
さて、公開経営指導協会が「POP広告実技講座」を開始したのは、1970年頃(今から約45年前)のこと、それまでに協会には「小売業の販売促進講座」の一項目にPOP広告があり、それを独立して1本化する企画が立てられました。
そこで、喜多村哲夫先生、故竹中顕先生とご一緒に作成し、6冊シリーズのテキストで構成して講座がスタートしました。その頃には、内田洋行の油性マーカー「マジックインキ」が発売されて普及していたのですが、竹中先生が油性マーカーを拒んで、レタリングは平筆とポスターカラーによるものとなりました。
その後、「POP広告実技講座」は時代の変遷に対応して、テキストは幾度も改訂され、現在に及んでいるものです。
当時、手書きPOP広告の通信教育は、大学や民間、関連企業でも数多く出現し、実技セミナーやスクーリングも隆盛を極めました。
しかし、1990年代の半ばにパソコンが普及すると、パソコン作成のPOP広告が時代の先端を行くものと考えられ、誰もがソフトで手軽に、整って作れることから、たちまち活況を呈して、今日にも至っている状況です。数多くのPOP広告通信教育講座は姿を消しました。
その中にあって、唯一、健闘しているのが公開経営指導協会の「POP広告実技講座」で、これは実に嬉しい限りです。
というのも、今や、プリントされたパソコン作成のPOP広告の表現が色褪せ、温もりの感触と生の説得力を持つ手書きPOP広告の効果が、再び脚光を浴びる時代となったからです。
公開経営指導協会の「POP広告実技講座」が、通信教育としてさらなる振興を見るとともに デジタル時代にあって、手書きPOP広告が売場の大切な情報ツールとして、いっそうの活躍を果たすことを、私たちは心から期待するものです。
安達昌人会長